キリンビール高知支店の奇跡―勝利の法則は現場で拾え!―/田村潤を読んで~ビジョンを持って前進を続けることが大事~

ー手に取った理由ー

大阪に行ったときは、帰りの電車でいつもビールを飲みます。

駅ナカのコンビニでビールを探していたら新大阪駅でキリンがご当地仕様のビールを出しているのを発見。

早速飲んでみることに(神戸工場で作ったらしい)。乗り継ぎの岡山駅でもまたまたご当地仕様のキリンビールを発見(岡山工場で製造)。

飲み比べも兼ねてまたまた買っちゃいました。

味の違いは全然わからなかったけど、地元を意識した販売方法は地元民にもうれしいだろうし県外から来た人も買いやすい。

いい販売方法だな。

もしかしたら47都道府県あるのかなと思ったらどうやらあるみたいですね。

しかもローカルCMもあるらしい。

どうやら田村さんは私が岡山で買った限定キリンビールを購入した岡山工場に入社後配属されたらしいです。

大阪仕様は写真取り忘れました。

そこで、今回の紹介する本を購入していた事を思い出す。

ー概要ー

ライバルのアサヒビールに大きくシェアを食われ始めた高知支店の支店長に就任した田村。シェアを拡大するための方法を画策し、ついに高知県は全国トップのシェアを獲得する。

田村のフィールドは四国、東海、そして全国へと広がり、ついには全国のビールシェア2位から1位の座へ返り咲く。その秘訣を紹介する本。

3章構成で

第1章:高知での業績回復

第2章:四国・東海・本社それぞれの管轄地域での業績回復

第3章:これまでに得た考え方のまとめ

ー著者ー

田村潤

元キリンビール株式会社代表取締役副社長。1950年、東京都生まれ。成城大学経済学部卒。95年に支店長として高知に赴任した後、四国四県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に代表取締役副社長兼営業本部長に就任。全国の営業の指揮を執り、09年、キリンビールのシェアの首位奪回を実現した。11年より100年プランニング代表(本書より引用)

副社長まで出世するとは凄いな。

Pexels / Pixabay

ー全体を通してー

~重要なのはビジョンを持って前進を続けること~

1章に重要な事はすべて書いてあり、後はその応用でどうやって来たのかということを説明している。

キリンビールのシェア奪還のための戦いの本質はライバルとの戦いではなく自社の風土との戦い(p4)

とあるように社内の意識・行動の変革に主眼を置いており他社の動向は全くと言っていいほど触れていない。自社内の意識改革だけで成功へと道微意いている。この本で描かれているのは「ビジョンを持って前進を続けること」そしてその実現方法を実際の出来事を踏まえて解説してくれている。

本文中で以下の分が引用されている。

正解などわからない。必要なのは前進する力を常に創造し続けること。正解など、その後で見つかる(サン・テグジュペリ)

サン・デクジュペリといえば「星の王子様」で有名な作家だ。

前半ではビジョンを持つこと、そしてそのために行動することが大切だと書かれている。

しかし、後半では行動することの重要性に主眼が置かれている。田村さんは成果を残すたびに会社の中枢に近づいてく。会社の中枢にいる人ほど会社の理想やビジョンをしっかり理解しているのだろう。私自身、昔部長から、「会社の理念を深く理解している人こそ出世する」といわれたこともある。キリンも同様の人が多いのではないだろうか。そんな人たちが指揮しているのになぜうまくいかないのか、それは理念に向かってがむしゃらに行動する力が足りないからだと気づいたのではないだろうか。

田中さんは本書で

理念は形骸化する(p153)

と述べている。

私は理念の本質的部分は時代を経ても決して変わらないと思う。キリンビール創業初期の理念である「品質本位」「お客様本位」は今でも十分通用すると思う。しかし、その理念の実現のための手段が机上の空論と化してしまう。このことを理念の形骸化と呼んでいるのではないだろうか。理念を掲げながらその最適な実現手段はなんなのだろうということを時代に置いていかれないように考え続けなければならないのだ。

また、リーダーの考え方について深く書かれている。管理職以上の人にはためになる知識が多いだろう。

ー感想ー

~キリンビールの歴史~

岩崎弥太郎の資本も関係しているんだな。三菱系統の会社みたいだ。

ドイツ人技師を招集して造ったビールらしい。当然ラガービールだ。

1954年に国内シェア1位を獲得したが1987年にアサヒビールが「スパードライ」を発売したことによりシェアを食われる。今までの殿様商売気質が抜けず苦戦を強いられる事になる。

~価格営業に反対~

商品の質ではなく価格を下げることで商品を売り込む手法。

本書では、一時的な成果を上げることが目的なら効果はあるが、長期的に見て高品質な品を安定供給することを目的とすると下策だと述べられている。私もその考え方に賛成だ。安易に価格営業に依存していてはメーカーの体力が持たない。私もカスタマーサービスの良さや製品の質の面からも長く使いたい物は少し高価な物を選ぶようにしている(もちろん安いにこしたことはないが)。

~商品に惚れ込めるかどうか~

田中さんは売り上げアップを目標にするのではなくて、その先にある顧客満足度の向上を目指す。良質な自社の商品をより多くの人に楽しんでいただくことが目標なのだ。そのため、売り上げアップは顧客満足度向上のための手段に過ぎない。

でもこの考え方をするためには自分が取り扱っている製品に自信がないとできないことだと思う。営業の方々はみんながみんな自分の扱っている商品が一番いいと思いながら仕事をしているのだろうか。自分が誇りに思える商品を扱えた田中さんが幸せだったのかなと思う。自分の扱っているという商品が1番でないと思うのであれば、商品の検討や開発チームとの打ち合わせから始めなければならない。

~既存の成功体験を安易に真似するだけに終始せず優先度の高さを考える~

本書では自販機の掃除をしたから売上が伸びたという事例を真似して、自販機の掃除をする社員を批判する文章がある。私自身は、それほど間違ったことではないのではないかと思う。成功事例を共有して自分の営業地域でも活かすのはむしろ良いことだと思う。丁寧な対応は好印象だろう。

では、なぜ本書では批判されているのかというと、優先順位の付け方がまずかったのではないだろうか、問題点を把握してその解決のために優先順位をつけたとき自販機の掃除以外に効果が期待できる仕事がまだあったのであろう。売り上げが鈍化する高知支店において成果があまり期待できない事をやっても評価されなかったのではないだろうか。

とはいえ営業で気になった部分については掃除するという行為は結構武器になるのではないだろうか。

~単純なことを地道やる~

単純なことを愚直に地道に徹底してやる p40

ここでいう当たり前の事とは

・PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)サイクルを回すこと

・仮説と検証を繰り返す事

・地道な営業を重ねること

他にもたくさんあるのだと思う。

でも、当たり前の事が当たり前にするということはなかなかできないと思う。

当たり前の事が当たり前にできるってそれだけで一人前っていうかむしろ立派な人間の部類に入ると思うんだよなぁ。

~味の違いはわからない。印象が勝負~

これは営業者泣かせだがその通りだと思う。実際私もキリンビールの岡山限定版と大阪限定版の違いはわからなかった。同時に飲めば分かるかもしれないがそれで優劣が決まってもやっぱりどっちでもいいと思ってしまうだろう。アサヒとキリンならどっちでもいいと思う気持ちは分かる。両方ともそれぞれよさがあるし、その違いを重視して飲む酒を決めるほど味にうるさくもない。違いの分かる人には分かるのかもしれないけど、あまりこだわりのない私は正直この内容をみて安心しました。実際本書には「元気なイメージのあるビール会社」など印象面での指標の改善によく触れている。でもこれはビールという商品の質がいいから言える話であってすべての業界に当てはまる事ではないなとも思う。

~心に残ったこと~

あとがきで

「善なるものへの意思」が大切(p186)

と述べられている。あまり精神論的な話は好きではないがこれには同意する。人が、善いと心から信じた物に基づいて行動するとき、人は実力以上の力が発揮できる。同時に周囲の人も動かす事ができるし運も舞い込んでくる。私もこのことが実感できるような人生を送りたいものだ。

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