幻夜/東野圭吾を読んで~一人の悪女と彼女に翻弄される男~

―手に取った理由―

白夜行を読んだので次は続編を読もうと思いました。

ドラマ化もされている

―あらすじー

阪神淡路大震災の混乱のなかで、衝動的に殺人を犯してしまった男。それを目撃した女。二人は手を組み、東京へ出る。女を愛しているがゆえに、彼女の暗示のまま、悪事に手を染めてゆく男。やがて成功を極めた女の、思いもかけない真の姿が浮かびあがってくる。彼女はいったい何者なのか?!名作「白夜行」の興奮がよみがえる傑作長編。(本書より引用)

男は水原雅也で機械工作の職人。

女は新海美冬。

―著者―

東野圭吾(ひがしの けいご)

1958年大阪市生。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら小説を書き、85年、「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞、その後執筆に専念。99年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本書より引用)

―全体を通して―

~一人の悪女とそれに翻弄される男~

美冬が徹底して悪女だと形容される。

ここまで行けば一種の魔物だろう。

彼女は自分自身の「美」を追求し続ける。

雅也は美冬に完全に翻弄される。

完全に美冬の方が上手である。

突きつけられる真相は衝撃的だが白夜行でやっていることがすでに常軌を逸しているため衝撃は少なかった。

個人的には白夜行の方が個々人の思惑の複雑度が高いように感じる。

話が白夜行よりシンプルで分かりやすいためにスイスイ読める。

―感想―

~幻夜は白夜行の続編なのか~

個人的には白夜行の続編だと思って読んだので、「幻夜は白夜行の続編だ」と言える。

しかし、幻夜から読んでも美冬の異常性は分かるし内容は楽しめると思う。

ただ、本ブログは白夜行の続編としての目線で読んだ感想を書いていく。

おそらく本作の新海美冬は白夜行の西原雪穂と同一人物だろう。

~桐原亮司と水原雅也では立場が似ているようで異なる~

新海美冬が相棒として選んだのが水原雅也だ。

新海美冬と水原雅也はお互いの弱みを握りあうことになる。

西原雪穂であったときに裏で動いていた亮司のような存在が社会的成功には不可欠ということだろう。

美冬は自分を絶対に裏切らない相棒を卓越した判断力と行動力で手に入れる。

これは西原雪穂と桐原亮司の関係とは似ているようで異なるのではないだろうか、互いに弱みを握りあっていたのは事実だと思うが、二人は共犯関係にあった。

どちらかというと白夜行では雪穂と桐原は後ろ暗い過去を持った人間が身を寄せ合いながら社会に立ち向かっていくという構図が描かれていたように思う。

しかし、幻夜では世の中に立ち向かっていくのはもっぱら美冬であり、雅也はそのサポートに徹する。

白夜行と幻夜とで二人の男女の関係性は似ているようで異なっていると感じる。

美冬が雅也にこれまでの、そしてこれまでの行動を納得させるために以下のように話す。

あたしらは夜の道を行くしかない。たとえ周りは昼のように明るくても、それは偽りの昼。そのことはもう諦めるしかない。(本書より引用)

本作では自分たちが歩いている道は「白夜」ではなく「夜」だと説く。

もう、自分を照らしてくれた亮司はいない、自分の力で夜に立ち向かっていくしかないと暗に言っているようにも読み取れる。

美冬は形のあるものしか信じないと述べている。形のない亮司との絆を失ってしまったがゆえの言葉かもしれない。

~雅也にとっては有子の存在が昼を思い出させた~

雅也の人生をよるとするならば、有子が雅也にとっては昼のようなものだろう、手が届きそうで決して交わらない存在だ。

有子と家庭を作る想像をしているが、そのような妄想をしているときは自分が日の光の当たる世界(昼)に生きているように錯覚するが、現実に戻れば美冬のいる夜の世界を生きていくしかないのである。

~雅也は本当に美冬を愛していたのだろうか~

雅也の美冬への愛が全ての行動原理になっていると描かれている。

しかし、本当に雅也は美冬を愛していたのだろうか。

自分を守ってくれた美冬に感じている恩を愛と勘違いしたのではないだろうか。

雅也が美冬へ抱いている感情を愛だと錯覚させたのだとしたら、それもまた美冬の人心掌握のテクニックでなのかなと思った。

~美冬(雪穂)は今の生き方を変えることができない~

幻夜では美冬は悪女として存在し続けている。

しかし、これは彼女が本心から望んでいることなのだろうか。

白夜行の感想で私は雪穂は自分の人生を受け入れているのではないかと書いた。

しかし、本作では新たな人生を始めるチャンスがあった。

そのチャンスを再び自分の夢の実現のために使うのは、美冬(雪穂)は白夜行で描かれたような生き方しか知らなかったということももちろんある。

しかし、前作の桐原の存在も大きかったのではないだろうか。

桐原の思いを受け止めた自分は、自分がこの世界で成功するために生きざるを得ない。

自分の歩むべき道は明るい昼の道ではなく、太陽である桐原を欠いた夜の道だというということを半ば強要されている状況でもあったのではないだろうか。

―まとめ―

白夜行の桐原亮司と西原雪穂の関係が水原雅也と新海美冬の2人に置き換わって描かれている。

白夜行を読んで、面白いと思ったら読んで欲しい一冊。

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