豆の上で眠る/湊かなえを読んで~本物とは何か~

―手に取った理由―

湊かなえさんの新刊ということで読んでみました。

同一作者の作品ということで「Nのために」も読みました。

―あらすじー

小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に探す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。しかし自分だけが、大学生になった今も微かな違和感を抱き続けている。-お姉ちゃん、あなたは本物なの?辿り着いた真実に足元から頽れる衝撃の姉妹ミステリー(本書より引用)。

戻ってきた姉本当に今までの姉と同一人物なのか
「あらすじ」の内容を本書の中で詳細に説明している。

真相が明かされるのは最後の50ページほど

―著者―

湊かなえ(みなと かなえ)

1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年、第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選、07年、第35回創作ラジオドラマ大賞受賞。同じ年、第29回小説推理新人賞を「聖職者」で受賞。
08年、「聖職者」を第一章に、その後の顛末までを描いた長篇小説『告白』を刊行。同作が2008年週刊文春ミステリーベスト10第1位、第6回本屋大賞を受賞する。「告白」は2010年6月、松たか子主演で映画公開。著作:告白(2008年8月 双葉社 / 2010年4月 双葉文庫)、少女(2009年1月 早川書房)、贖罪(2009年6月 東京創元社)、Nのために(2010年1月 東京創元社)、夜行観覧車(2010年6月 双葉社)、白ゆき姫殺人事件(2012年7月 集英社)(amazonより引用)

―全体を通して―

~本物とは何か~

本物の姉妹であることとは同じ過去を共有することだろうか、それとも血の繋がりだろうか。

本書のテーマはそこに集約される。

正論を言えば血の繋がりなのだろうが、本当にそれでいいのかと思わせてくれる作品。

どちらが本物かは、その人の主観や考え方に依存する。

現に本作でも、本物とは何かという意見は人によって異なる。

最終的に主人公は何らかの行動を起こすことになる。
ただ、主人公が何をしようとしているのかは明かされない。

読者の想像に委ねられている。

もう少し本物とは何かというテーマを掘り下げて描くとよかったなと感じた。

そもそも真相を隠す必要はあったのだろうか。
意見の相違はあったにしろ真相を明らかにした方が、お互い幸せだったかもしれない。

私にも弟がいるが、失踪後違和感のある弟が戻ってきたら、落ち着かないと思う。
結衣子と同様に嫌悪感さえ感じるかもしれない。

―感想―

~ミステリーというよりは人間模様を描いた小説~

ミステリーと銘打っているが姉の失踪と姉探しの思い出がほとんどを占めている。
人物や心理描写が秀逸な作品だと思う。

特に主人公の母親の行動は分かる部分もあるが、何かに狂ったような感じ。

人間の闇の部分を垣間見させてくれる。

でも、もし娘が誘拐された疑いがあるのであれば、何か行動を起こしたいという気持ちは分かる。

ただ、具体的な行動を起こす人物の描写はこの作品独特なものだと感じる。

独特な人間描写は湊かなえの個性ではないかと思わせくれる。

ミステリーの真相は最後の数十ページに集約されている。

真相にたどりつくまでは事件の成り行きを丁寧に描写していく。

だからこそ終盤で主人公の結衣子が感じる、戻ってきた姉・万佑子の違和感に感情移入しやすいというのは本書の見どころだとは思う。

しかし、私にとっては少し分かりにくかった。

―まとめ―

主人公の姉・万佑子失踪を軸とした、人間模様として捉えれば良い作品のように思える。
人間描写は独特なものがある。
独特な人間描写が湊かなえらしさである気がする(告白と合わせて2作しか読んでいないが…)。

湊かなえの人間描写は楽しめた。

ミステリーとして見ると、長編小説にしては少し物足りないと感じる。

誘拐事件の被害者となった家族やその周囲の人々の人間描写は秀逸だ。

そのため、ミステリーよりも湊かなえ独自の人間描写・心理描写に興味のある人におすすめの作品。

「告白」を読んで面白いと思った人がミステリー要素を重視せずに読めば楽しめるのではないだろうか。

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