Nのために/湊かなえを読んで~パズルのような構成~

―手に取った理由―

「豆の上で眠る」を読んだ流れで湊かなえさん著の本を読んでみようと思いました。

―あらすじー

超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫妻は死んだのか?それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?切なさに満ちた、著者初の純愛ミステリー。(本書より引用)

様々な人物の独白から事件の真相が明らかになる。

―著者―

湊かなえ(みなと かなえ)

1973年広島県生まれ。2007年に「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。
08年同作品を収録した『告白』は、第6回本屋大賞を受賞した。
12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
その他の作品に『少女』『贖罪』『夜行観覧車』『境遇』『白ゆき姫殺人事件』『豆の上で眠る』など多数。(本書より引用)”

―全体を通して―

~パズルのような構成~

事件の関係者は皆、嘘の供述をするが、それが不思議と矛盾がなく、事件は一応の解決をみる。
しかし後に、各々は自分の主観での本心を独白する。
その情報を組み合わせていったとき事件の真相が見えるという話だ。

誰かが誰かのために行った行為が、事件を一つの結末へと導いていく。
誰かが行動しなければ事件は起こらなかっただろう。
もしくは誰かが自分の主観を正直に話していれば事件の真相にはもっと単純にたどりつけただろう。
「言わないこと」、「誰かのためを思うこと」が気づかないうちに物事を複雑にしていく。
全員がそれぞれ分からない情報があって、全員にそれぞれのみが知っている事実がある。
皆それぞれ自分のしたことを悔い、苦しんでいるのではないだろうか。
本作では誰も救われずモヤモヤとした気分を抱き続けることになる。

しかし、奇跡的なバランスで事件が成り立っていることには感嘆する。
自分の主観をすべて相手に伝えたとき、互いに秘密を持ちあっている4人は何を思うだろうか。

―感想―

~無償の愛~

本作では愛とは何だろうという問いかけがある。
答えは出ないが、本作での登場する主要な4人の愛に基づく行動の多くは無償だ。
誰も愛の見返りを求めなかったことが事件を複雑にしたとも言える。
そういう意味でこの小説は純愛小説だといえるだろう。

―まとめ―

解決したはずの一つの事件を、様々な人の主観から見ていく中で事件の真相が明らかになっていくという話。
主要登場人物の4人全員が事件に関わっている。
奇跡的なバランスで成り立つ事件の真相に驚嘆する。
しかし、真相自体にはそれほど驚くことにはならないと思う。

同時にこの作品は純愛小説でもある。
登場人物は皆、誰かを思って行動する。
それが正しいか正しくないかは別として、「誰かを思う」という行動は尊いのではないか。

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