武士道/新渡戸稲造 訳:佐藤全弘を読んで~今も残る日本人の思想~

―手に取った理由―

学問のすすめを読んだので、次に読むべきは武士道だろうと、勝手に思い立ち読み始めました。

最新の現代語訳も紹介しておきます。

―あらすじ―

日本人の精神形成の由来を“武士道”に見出し、日本人の自己認識と東西融和の基礎を示した国際的名著の新訳。民族独自の伝統文化を尊重し平和共存を願った新渡戸稲造の、世界多元化時代を迎えた21世紀に向けたメッセージ。詳細な脚注付き。(amazonより引用)

日本人の特徴的な思想を武士道として海外の人に説明した作品。

―著者―

新渡戸稲造 (にとべ いなぞう)

1862年南部藩士の子として生まれる。札幌農学校(現在の北海道大学)に学び、その後、アメリカ、ドイツで農政学等を研究。1899年、アメリカで静養中に本書を執筆。帰国後、第一高等学校校長などを歴任。1920年から26年まで国際連盟事務局次長を務め、国際平和に尽力。辞任後は貴族院議員などを務め、33年逝去  (amazonより引用)

―訳者―

佐藤全弘 (さとう まさひろ)

1931年2月15日大阪市東区南本町に生まれる。大阪市立大学文学部卒。大阪市立の定時制高校で英語教育に当たったあと1963年大阪市立大学助手、1979年教授、1994年定年退職。同大学名誉教授。キリスト教愛真高等学校理事。愛農学園高校理事。専門は哲学。集会:なにわ聖書研究会主宰。関西合同聖書集会代表。愛農聖書研究会講師(amazonより引用)

―全体を通して―

~今も残る日本人の思想~

時代が違うので、内容を読んでも理解できない部分もあるかもしれないと思ったが、本を読んでも全然違和感がなかった。

作者は文明開化とともに武士道が消え去ることを危惧している。

ああ、武士の美徳よ!ああ、サムライの誇りよ!ラッパや太鼓の響きとともにこの世に導き入れられた道徳は、「将軍たち王たちの去る」とともに消え去る定めにある。(p242)

しかし以下のようにも述べている。

<武士道>は独立した倫理の掟としては、消え去るかもしれぬ。しかし、その力はこの地から滅び去ることはないであろう(p250)

確かに、現代では武士道は語られない。

しかし、その根底にある思想を読んでも違和感がない。

つまり、私たちの中に武士道の考え方は残っているのだ。

私たちは知らず知らずのうちに武士道を学んでいるのだ。

このことは自分が日本人だということを再実感させ、非常に誇りに思った。

海外の道徳規範や文章から同様の考え方を引用している。

日本人の考えが決して日本人独特のもの・変なものではない。

万国共通の考え方の一つを先鋭化したものであることがよくわかる。

―感想―

~少し難しい本~

日本の事例を海外の文章や事例から説明するという説明の仕方が多い。

注釈があるので、読めば何となく参考にしている海外作品の説明も分かるが、ズブの素人には難しい本だなと感じた。

漢語(書き下し分)も多く使われており、反語を知らないと意味が分からないところもある。

結構読むのに体力がいる本だった。

~比較こそ学問と文化の生命~

比較こそ学問と文化の生命ではないのか。言語、道徳、宗教、行為の掟の研究に当たって、「1つしか知らぬ者は1つも知らぬ」というのは、本当ではないか。(p38)

確かにそうだと思う。

何が悪くて何が善いのかを定義しないと、善悪は語れない。

やっぱり人間は多くの知識を得なければならないなと思った。

物理や化学の世界でも、求めた値が大きいのか小さいのか、比較対象がないと判断できない。

~自分も天皇に関係がある~

家系を次々とたどってゆけば、皇室を全国民の源泉とした。(p61)

今まで、はっきりと考えたことがなかったが確かにそうかもしれない。

天皇が称えられる意味が分かった気がした。

~礼の奥深さ~

私たちは、敬虔な思いをこめて、礼は「忍耐づよい、情深い、ねたまない、自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない」と言うことができよう。(p99)

礼は難しいなと感じた。

日本人は武芸などの芸術から食事作法まで様々なことを細かく礼として定めた。

作法を定める必要性を以下のように述べている。

およそ何事でもしよういうのなら、たしかにそれをする最良の道があるはずで、その最良の道こそは、最も経済的であるとともに、最も優雅な道である。(p101)

確かにそうだなと思う。

そういう意味では、礼儀作法は馬鹿に出来ない。

私は、礼儀には疎く目的を達成できれば良いという考え方の人間だったが、考え方を改めないといけない。

~生きることも勇気である~

切腹の行動原理によって、腹に魂があると考えて以下のように述べている。

私は私の魂の座を開いて、あなたにその有様をお見せしよう。それが汚れているか、清いか、ご自分でごらんなさい。(P165)

しかし、安直に死を選びすぎることを疑問視している。

本書では、死ぬことはある意味では生きることよりも楽な道だと述べている。

生きることも勇気のいることだということを理解するべきだろう。

―まとめ―

「武士道」というと古い考え方のような気がする。

実際に古い考え方ではあるのだが、書いてあることは不思議と理解できるのだ。

もちろん実践はできていない。

しかし、日本人の意識は今も受け継がれているのだなと再確認できる本である。

最新の現代語訳も紹介しておきます。

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