流(りゅう)/東山彰良を読んで~青春と時代の流れ~

―手に取った理由―

直木賞受賞作ということで読んでみようと思いました。

―あらすじ―

何者でもなかった。ゆえに自由だった――。
1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。
内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が?
無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。
台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。(Amazonより引用)

主人公の秋生の青春時代を切り取った小説。

祖父殺害の犯人を捜すというミステリー要素もある。

―著者―

東山 彰良(ひがしやま あきら)

1968年台湾生まれ。5歳まで台北で過ごした後、9歳の時に日本に移る。2002年、「タード・オン・ザ・ラン」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞。2003年、同作を改題した『逃亡作法TURD ON THE RUN』で作家デビュー。2009年『路傍』で第11回大藪春彦賞を受賞。2013年に刊行した『ブラックライダー』が「このミステリーがすごい!2014」第3位、「AXNミステリー闘うベストテン2013」第1位、第67回日本推理作家協会賞候補となる。近著に『ラブコメの法則」』『キッド・ザ・ラビット ナイト・オブ・ザ・ホッピング・デッド』がある。本書で第153回直木賞を受賞(本書より引用)

―全体を通して―

~青春と時代の流れ~

戦後からバブル崩壊までの時代背景と、その時代に生きた一人の主人公の青春の話。

主人公は自分の祖父の生涯に大きく影響を受ける。

最後の章で祖父の気持ちを聞かされるが、複雑なものだと思った。

今の生活は守りたいという気持ちよりも、自分の責任を取りたいという気持ちになっていたのだろうか。

戦争のことは忘れたいが、忘れるわけにはいかないという気持ちになっていたのだろうなと思う。

だから銃の手入れも怠らなかったのだろう。

祖父殺害事件と恋愛において主人公は熱狂的になり、それぞれの面で最終的に前を向くようになる。

それ以外は何がしたいという思いもなく周囲に振り回されることが多い。

正直感想は書きにくい内容だった。

そういう人生もあるよねと思って読み進めていくだけだった。

つまらないという印象はないが、特に心動かされる場面もなかった。

得てして人の青春とはそういうものかもしれない。

強いて言えば、

・主人公の最初の失恋の時の登場人物の心情

・最終章での祖父と犯人の心情

が印象深い。

しかし、結構淡々と書かれており感情移入しづらい。

ドラマチックな文章もない。

わざと感情移入しづらいように客観的に書いているのかもしれない。

感情移入できればもっと楽しめる作品だったのにと思うと残念だ。

私が読み手として未熟なのかもしれない。

―感想―

~喧嘩ばかりの人生~

いつもヤクザや喧嘩がついて回る青春だった。

主人公がそれほどやんちゃでもないのに友人関係や周囲の環境に巻き込まれて喧嘩三昧の生活を送ることになる。

おかげで勉強は思うようにうまくいかない。

主人公がいつまでたっても勉強しないので少しイライラしたが、現実問題そんな簡単に勉強に目覚めるわけがない。

周囲に翻弄され思い通りにいかない一人の人間の青春時代としては妥当な内容だと感じた。

~不思議な話が付きまとう~

幽霊や心霊現象のようなものが時々描かれる。

それらの描写が主人公の青春時代をなんだか得体のしれないものにしていると思う。

全体として人の行動が理性で制御できないもの、何か得体のしれないものが登場人物を突き動かしているのではないかという印象を受ける。

―まとめ―

主人公の青春時代を切り取った小説。

祖父殺害事件の真相はドラマチックであるが、それ以外はよくある青春小説。

淡々と書いており、文章で感情移入させようとはあまりしていない。

描写は丁寧だと思う。

こんな人生もあるのかとぼんやりと思う小説。

一人の人間の平凡で少しドラマチックな半生を楽しみながら読ませてくれるという意味では読む価値のある本。

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