虚ろな十字架/東野圭吾を読んで~罪の償いとは何なのか~

―手に取った理由―

家族が購入していたので読むことにしました。

―あらすじ―

娘を殺されたら、あなたは犯人に何を望みますか。

別れた妻が殺された。
もし、あのとき離婚していなければ、私はまた、遺族になるところだった──。
東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、予想もつかない展開。
私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。(Amazonより引用)

―著者―

東野 圭吾 (ひがしの けいご)

1958年大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。1999年、『秘密』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2006年、『容疑者Xの献身』で第134回直木賞と第6回本格ミステリ大賞を受賞。2008年、『流星の絆』で第43回新風賞を受賞。2012年、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞を受賞。2013年、『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞を受賞。2014年、『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞 (本書より引用)

―全体を通して―

~罪の償いとは何なのか~

そもそも何故罪を償う必要があるのかというと、それは遺族や迷惑をかけた人の為だろう。

しかし、誰にも迷惑をかけていないのなら、その罪を償う意味はどこにあるのだろうか。

あるとすれば、罪を犯した人の良心の呵責でしかない。

あの人が生きていればどうだっただろう、もし事件が起こっていなければどうなっただろう。

「もしも」を仮定して苦しみ続けなければならない。

誰にも迷惑をかけていない人を裁く理由がどこにあるのだろうか。

そう思わずにはいられなかった。

罪を犯したこと自体に問題があるのだから罪を償うべきというのは正論だ。

しかし問題がその人個人にしか及ばない場合、果たして裁くべき理由があるのだろうか。

その人が自分の良心の呵責にさいなまれているのならなおさらだ。

全体を通して、

死刑に意味はあるのか。

罪を償うとはどういうことなのか。

倫理的な問題に踏み込んだ作品。

問題の規模が大きすぎて、自分たちではどうすることもできないが問題を提起してくれる作品。

―感想―

~殺人者は全員死刑にすべきなのか~

ひとつの事件にはいろいろな物語がある。事件によって、それは違う。それなのに結末は、犯人が死刑になりました、だけでいいのかとね。それは結局、誰のためにもならないと思うわけです。

殺人者を弁護した弁護士の言葉である。

事件ごとに様々な事情がある。

それを死刑という一言で片づけていいのだろうか。

分かる気がする。

理想をいうと殺人者が罪の重さを認め、自分のような人や自分のように苦しむ人が出ないように尽くすことだろうか。

犯罪者の気持ちが分かる人が犯罪防止に取り組むのだから一般人が取り組むより効果があるかもしれない。

当事者意識を持って語るのでその言葉は人を動かすかもしれない。

客観的に見るとそうすれば世の中はもっと良くなるかもしれない。

しかし、被害者の遺族からすれば殺人者が生きているだけで虫唾が走るだろう。

殺人は反省すれば許されるという程度の甘っちょろいものではない。

せめて殺人者は釈放なしで無期懲役にすべきかもしれない。

しかし殺人者が本当に反省しているなら世の中に良い影響を与える可能性は0ではない。

その可能性を摘み取るのは酷ではないだろうか。

殺すのも同様だ、確かに殺人者を殺せば更なる被害がでることはないだろうが、国が可能性に満ちた人の一生をそこで終わらせるというのは相当の理由がないとダメな気がする。

国は殺人者が再犯をしたとき何らかの形で責任を取ってほしいという気持ちは分かる。

殺人者が釈放されて殺人を犯したのなら、釈放した国にも責任があると思う。

でも、完璧に再犯の可能性を否定できる人などいない。

この人は絶対に再犯しないという保証をすることはできないのだ。

そもそも犯罪者は社会に適合しづらいから犯罪者になったわけで釈放後も社会に適合しづらいままだろう。

犯罪者のその後の生活も国に責任を持ってほしい。

そもそも一般人には人が意図して人を殺すという心理が理解できない。

人を殺すことが快感な人、人を殺さずに入られない人がもしいるのならば、その人は一定数殺すまで死刑にならない。

そういう人を完璧に判断することができないのであれば、一度でも意図的に殺人を犯した人は死刑になるというのは悪い話ではない気もする。

それでも更生の可能性がある人もいるはずである。

その人たちを切って捨てるのはどうかと思ってしまうのだ。

そういう意味では、遺族には残酷かもしれないが今の司法も妥当な部分はあると感じる。

難しい問題だ。

~牢屋に入る=反省して再犯率が下がる、わけではない~

ほぼ、無意識というか、生活の一部として犯罪を犯す人もいる。

例えば精神疾患を抱えていて犯罪を犯さずにはいられない人だ。

そういう人にとっては牢屋に入ることは、根本的な問題解決にならない。

最近は刑務所にカウンセラーがいて根本解決に努めているという話も聞く。

行政も問題に気づいて少しずつ努力をしているのだろう。

―まとめ―

死刑に意味はあるのか。

罪を償うとはどういうことなのか。

倫理的な問題に踏み込んだ作品。

問題の規模が大きすぎて、自分たちではどうすることもできないが問題を提起してくれる作品。

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