黄色い目の魚/佐藤多佳子を読んで~瑞々しい青春、自分の想いを全力でぶつけること~

―手に取った理由―

高校時代に読んで感動した本だったので、是非ブログで紹介したいと思い再読しました。

―あらすじ―

海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて――。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。 (本書より引用)

みのりの絵を描きたい。

悟の絵を見たい。

絵を通じて二人は結びついていく。

―著者―

佐藤 多佳子(さとう たかこ)

1962(昭和37)年、東京生れ。青山学院大学文学部卒業。’89(平成元)年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞受賞。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で’98年度日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『ハンサム・ガール』など。(本書より引用)

―全体を通して―

~瑞々しい青春、自分の想いを全力でぶつけること~

この本を読んでよかった。

再読してもそう思った。

自分が良いと思った作品は日が経って読み直してもやっぱりよかった。

この小説の良さは年をとることで衰えるものではない「普遍的」な良いなんだと思って嬉しくなった。

この小説では自分の想いに正直になること一生懸命になること・自分の足で立つことの重要性を説いているように思う。

みのりは一生懸命にやることが何か分からない。

悟は目の前にあることに本気になれない。

そんな2人が絵を通して自分達の道を見つけていく。

文が真っすぐだと思った。

短文を重ねていく形で登場人物の気持ちや行動を描いていく。

青春小説らしい、真っすぐさ愚直さが文からもにじみ出ていると感じた。

しらずしらずに本作の雰囲気に飲み込まれてしまう。

作者が大学時代に書いた短編を長編として仕立て直したらしい。

大学生からこんなことを思って形にできるなんて。

物書きはやっぱ才能が必要だなと思った。

こんな素晴らしい作品を仕上げてくれて本当に感謝する。

全てを言葉にするのは難しい。

ぜひ本書を読んで欲しい。

―感想―

~人が人のことを嫌うとなんとなく分かる~

もし、ミン(みのり)が今でもその子のことが嫌いなら、謝っても無駄だよ。かえって彼女を傷つけるだけだ。わかるんだよ。相手が好きか嫌いかっていうのは、自然にわかるんだよ(本書より引用)

私もその意見に同意だ。

人が苦手とか嫌いという思いは自然に相手にも伝わる。

その気持ちの発信源が自分なのか相手なのかは分からないけど、なんとなく分かる。

不思議と相手も自分に対して自分が抱いている気持ちと似たような気持ちを抱いている。

せめて、自分から人を嫌うのはやめようと思うがなかなか難しい。

嫌いがたくさんあるみのりは周囲に嫌われてたんだと思う。

でも、たくさんの嫌いはたった一つの好きがあるからできたのだと思う。

嫌いになるって、自分に自信がなきゃできない。

きっとみのりの好きがとても大きなものだったから世の中のたくさんのものを嫌いになれたのではないだろうかと感じる。

~学校は孤独を浮き彫りにする~

学校というのはヘンなところだ。誰かが一人でいると犯罪者のような目で見られるし、そんな気持ちにさせられる。

確かにそうだと思う。

だからこそ、つくろってでも自分には友達がいると振舞いたいのだ。

大学生になったり社会に出てみれば一人の方が気楽なのに。

やっぱり学校は不思議な空間だなと思う。

KeithJJ / Pixabay

~悟の本気になることへの抵抗~

俺は、やっぱり、ぎりぎりいっぱいのマジメじゃなかったんだな。(本書より引用)

「本気って、ヤじゃない」?

俺が聞くと、村田は理解できないという顔つきになった。

「こわくねえ?自分の限界とか見ちまうの?」

それでも、まだ、俺は言っていた。

「俺、そんなの見ちまったら、二度と立ち直れない気ィするよ」(本書より引用)

俺はみっともないのは嫌いだった。とびきりカッコよくなくてもいいが、カッコ悪くなるのはいやだった。マジになるのは恐かった。マジになると結果が出る。自分の限界が見えちまう。マジで勝負をしなければ、なくすものもない。負けてみすぼらしくなることもない。すべて曖昧なままにしておけば、誰に何を言われてもヘラヘラ笑っていられる。(本書より引用)

悟は本気になることに抵抗がある。

しかし、祖父の

最後は自分だけだ。誰かのせいにしたらいけない(本書より引用)

という言葉を聞いて自分の在り方に疑問を持つ。

明確には書かれていないが、悟のターニングポイントは祖父の言葉であったと私は考える。

~みのりの一人立ち~

通ちゃんチにいると、私はどっかが育たない気がする。木島だけがぐんぐん育っていって、どんどん歩幅が違ってしまって、息をきらして走ってもついていけなくなるかもしれない。どうすればいいのか、わかんない。何をすればいいのかもわかんない。でも、考えないといけないんだ。通ちゃんのいないところで、通ちゃんにヒントをもらったりせずに。通ちゃんの手伝いをして自分も何かをしてるような錯覚をしないで。一人で。(本書より引用)

みのりも木島と出会って自分一人で生きていくことを考えていくことになる。

―まとめ―

みのりは一生懸命にやることが何か分からない。

悟は目の前にあることに本気になれない。

そんな2人が絵を通して自分達の道を見つけていく。

文が真っすぐだと思った。

短文を重ねていく形で登場人物の気持ちや行動を描いていく。

青春小説らしい、真っすぐさ・愚直さが文からもにじみ出ていると感じた。

しらずしらずに本作の雰囲気に飲み込まれてしまう。

全てを言葉にするのは難しい。

ぜひ本書を読んで欲しい。

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