火車/宮部みゆきを読んで~身近にある現代社会の中の恐怖~

―手に取った理由―

宮部みゆきさんの本を紹介しようと考えました。

そこで、宮部みゆき著で今まで読んできた中で一番心に残った小説を紹介しようと思いました。

―あらすじ―

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。 (本書より引用)

ある一人の女性の失踪事件が殺人事件にまで発展していく。

本間のコツコツとした調査をじっくりと描いており、だんだんと女に感情移入してしまう。

社会の犠牲になった人々を描く作品。

―著者―

宮部 みゆき(みやべ みゆき)

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物推理小説新人賞受賞。89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞受賞。92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞受賞。同年『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞受賞。93年『火車』で山本周五郎賞受賞。97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞受賞。99年には『理由』で直木賞を受賞した。近著に『模倣犯』『R.P.G』がある。(本書より引用)

―全体を通して―

~身近にある現代社会の中の恐怖~

自己破産の件数は2016年で6万件程度だそう。

これでも減少傾向にあるようで2003年には25万件を超えたらしい。

著書では2万、3万件の自己破産があると語っている。

著書の取材当時の自己破産件数が、年々減少傾向にあるといわれる現在の自己破産件数の半分であることから、自己破産の問題が著書の時代よりも大きくなっていることが分かる。

自己破産減少の裏には国の規制が関係しているらしい。

最近話題に上る借金を減らせるかもしれないという弁護士事務所のCMも規制が厳しくなる前の金利を取り戻せるというものらしい。

本書で登場する溝口弁護士のような方たちの努力が報われたのだと信じたい。

自己破産やクレジットカードの使い方などの問題を先取りしたのが本書だといえるだろう。

一人の刑事が失踪中の女をコツコツと捜査していく物語。

でも、調べていくなかでこの世の中の不条理や女の複雑な心境を知る。

逃げたい気持ちは分かるけど逃げてはいけない。

社会の残酷さを見たような気持になる。

そして、登場人物が落ちてしまった社会の闇に自分も落ちてしまう可能性があることを思うと、自分の現状がいかに絶妙なバランス・幸運のもとに成り立っているか驚かされる。

人並み外れた行動力と決断力を併せ持つ失踪した女のことをもっと知りたい・話を聞きたいと読者にも思わせてくれる。

―感想―

~社会の不条理さ~

クレジットカードは今や生活になくてはならない。

多額の現金を持ち歩く必要もないし、急な出費にも対応できる。

加えて、使った分だけポイントが貯まるのだから使う分だけ得だ。

しかし、自分の貯金額以上を使ってはならない。

借金をしたり、分割払いにしたら手数料や利子がかかる。

その分本来購入した商品とは関係ないお金を取られてしまうのだ。

私ならそんな不当な出費は我慢できない。

言っていることは変なことではないと思うのだが、一度大金を使ってしまうと忘れられないのだろうか。

経営者も借金はする。

投資して投資額以上の金額を回収できるのなら合理的だ。

しかし、一般の人が大して儲ける予定もないのに借金するのは危険だ。

住宅ローンや車のローン等は仕方ない、むしろ合理的なのかもしれないができれば現金一括で払いたいと思ってしまう。

世の中は弱い人が損をするようにできていると思う。

今よりちょっと良い暮らし、便利な暮しが簡単に手に入りますよと一見、調子のいいことを広告やCMは語るが、そのリスクや悪い面は言わない。

その人は今よりちょっとマシな生活をしたいという慎ましい思いで手を出すのだが、何人かに一人は取り返しのつかないミスをしてしまう。

もしくは気づかない内に搾取されてしまう。

この記事を書いている現在、月々1万円で軽自動車が持てるというCMが頻繁に打たれているが、間違いなくローンで金利は取られるしデメリットもあるはずだ。

当然大金を持っていなくても車を持てるというメリットはあるが、そのメリットがデメリットと釣り合うものか、真剣に考えるべきだろう。

でも悪い面は自分で積極的に情報を取りにいかないと知りようがない。

何故そのサービスが成り立っているのかという視点も大切だ。

いい話・身の丈に合わない話の裏にはデメリットがあることを理解するべきだ。

かくいう私も保険選びで失敗してしまったから人のことは言えない。

でも失敗して、うまい話にも裏があるのだということを心底思い知った。

今では、よい経験をしたなと思っている。

投資だってそうだ。

お金のある人は大金を投入できるからわずかな利益率でも生活できるのに十分なお金を稼げる。

でもお金に困っている人はわずかな利益率では満足できず、リスクを度外視して利益を追求し損をする。

世の中はお金のある人に有利に出来ていると思う。

お金のない状態からある状態になるまでに少なくとも自分に関係する誰かが努力をしたのだから当然といえば当然だが。

~お金に関する教育が必要~

それにしたって知識がないことで損をする人が多すぎる。

割りを食うのは大抵社会的に弱い人だ。

この世の中は知識や人脈がモノをいうと痛感させられる。

本書で書かれているようにクレジットカードに関する教育は必要だ。

それだけではなく現代では資産運用など、お金の使い方に関する教育も必要だと思う。

―まとめ―

一人の刑事が失踪中の女をコツコツと捜査していく物語。

でも、調べていくなかでこの社会の不条理や女の複雑な心境を知る。

逃げたい気持ちは分かるけど逃げてはいけない。

社会の残酷さを見たような気持になる。

そして、登場人物が落ちてしまった社会の闇に自分も落ちてしまう可能性があることを思うと、自分の現状がいかに絶妙なバランス・幸運のもとに成り立っているか驚かされる。

人並み外れた行動力と決断力を併せ持つ失踪した女のことをもっと知りたい・話を聞きたいと読者にも思わせてくれる。

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